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IDGsとは?
意味や企業が取り組むメリットをわかりやすく解説

株式会社エタニティーズの内田奈及子です。
今回は、IDGs(内面の成長目標)について、わかりやすく解説します。

IDGsとは、SDGsの課題解決を促進するために、個人の内面的な成長を促すフレームワークです。IDGsとSDGsとの違いや、企業経営への導入メリット、具体的な取り入れ方まで詳しく紹介します。

弊社では、心理学と脳科学の最新の知見を織り交ぜ、東洋と西洋の叡智を融合させたプログラムを提供し、個と組織の真の可能性を引き出すことを目指しています。

私たちは、人と組織の本質を知ることから、一人ひとりが自己を超え、チームが一丸となり、組織全体が新たな次元へと進化するための支援を行ってきました。
このような経験から、IDGsが企業の持続的な成長と発展に欠かせないものだと確信しています。

具体的なIDGsの導入事例も交えて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

IDGs(内面の成長目標)とは?概要を解説

IDGsとは、どのような意味なのでしょうか。ここでは、IDGsの基本的な概要やSDGsとの違い、近年IDGsが推進されている理由をわかりやすく解説します。

IDGsとは?

IDGs(Inner Development Goalsの略)とは、個人の内面的な成長を促進するためのフレームワークのことです。
日本語では「内面の成長目標」と訳されます。
人の内面の成長に不可欠な要素を5つのカテゴリーに分類し、さらに23の資質・スキルを示しています。

現在、SDGs(持続可能な開発目標)が掲げる目標の多くが、世界各国で十分に達成されていない状況です。こうした現状から「SDGsの達成には、個人の内面や行動の変化が不可欠」という結論に至り、IDGsが生まれました。

フレームワークの各カテゴリーとスキルの具体的な内容については、後ほど解説します。

IDGsの目的

IDGsイニシアチブが伝える目的では「人類が直面するすべての地球規模の課題に内面の成長の力をもたらすことだ」と発表しています。

IDGsウェブサイト 
https://innerdevelopmentgoals.org/

つまり、IDGsの役割は「個人の内面的な成長を推進して、持続可能な社会の実現に貢献すること」です。

SDGsの表す「持続可能な開発」とは「現在の世代のニーズを満たしつつ、将来の世代のニーズも満たすことが可能な社会づくり」を指します。SDGsの達成が困難な理由の1つとして、SDGsのビジョンや目的を理解して行動する人が少ないことが指摘されているのです。

またIDGsは、SDGsの達成を後押しするだけでなく、従業員の内面的な成長を通じて企業経営の発展を促す重要な取り組みとして、人的資本経営の本質的課題として企業からも注目されています。

SDGsとIDGsの違い

SDGsとIDGsの特徴を簡単に表でまとめてみました。それぞれの違いを把握することで、IDGsの理解が深まるでしょう。

SDGs IDGs
目的 持続可能な開発目標の達成 SDGs達成に必要な個人の内面的な成長
推進の主体 国連、自治体、企業、個人など 企業、教育機関、個人など
対象 社会全体 組織、個人
目標・分類 17の目標と169のターゲット 5つのカテゴリーと23の資質・スキル
アプローチ方法 トップダウン方式
(国連が目標を設定)
ボトムアップ方式
(IDGsイニシアチブが中心となり、
ハブやメンバーの声から設定)

SDGsが「社会全体に対する目標」であるのに対し、IDGsは「個人の内面的な成長のための指標」として位置づけられており、目的や対象に明確な違いがあります。

また、SDGsが国連主導のトップダウン方式で進められているのに対して、IDGsは個人や現場の声を反映するボトムアップ方式の取り組みであることも特徴の1つです。

IDGsの推進がスタートした時期は?

IDGsは、2020年頃から内面の成長に必要な要素が検討され、2022年に国連で認められて推進がスタートしました。現在IDGsでは「IDGsイニシアチブ」という非営利組織が設立されており、学術機関やGoogle、IKEAなど計50以上の企業や組織が関わっています。

なお、IDGsには心理や組織の成長において世界的に著名な以下の有識者達も参画しています。

  • 成人の発達段階に関する理論を提唱したロバート・キーガン博士
  • 心理的安全性の概念を提唱したエイミー・エドモンソン博士
  • 学習する組織とシステム思考を提唱したMITのピーター・センゲ博士
  • U理論を提唱したMITのオットー・シャーマー博士 など

日本国内でも、今後さらに注目が集まることが予想されるでしょう。

IDGsがSDGsの課題解決や経営の成長を促進する仕組み

「なぜ、IDGsがSDGsの課題解決や経営の成長につながるの?」と疑問を抱く方もいるかもしれません。ここでは、下記の2つの視点からIDGsが重要と言える理由を詳しく解説していきます。

  • IDGsと問題の根本に働きかける「氷山モデル」
  • IDGsと「人間力」に必要な要素

IDGsと問題の根本に働きかける「氷山モデル」

IDGsがSDGsの課題解決に効果的な理由は「氷山モデル」で考えると理解できます。氷山モデルとは、出来事を「氷山」と捉えて全体像を把握するシステム思考のフレームワークです。

私たちが見ている出来事(氷山の一角)の下には、目に見えない「構造」や「パターン」、さらに個人や組織の「考え方(メンタルモデル)」が隠れています。

体験領域とドネラ・メドウズの氷山モデル
体験領域とドネラ・メドウズの氷山モデル

【氷山モデルの各層】

  • 出来事(問題):目に見える問題や出来事
  • パターン(行動):問題を引き起こしている行動パターン、習慣
  • 構造(システム):パターンを生み出している構造・プロセス
  • メンタルモデル(考え方):構造を作り出している価値観、信念、思考

例えば、ある企業の営業部門で営業成績と顧客満足度が低下している問題があるとします。表面上は「市場の変化への対応の遅れ」や「営業戦略の不備」などが原因であると考えられがちです。

しかし、より根本的な原因として「営業チーム間での情報共有不足」や「自分の営業成績さえ良ければいいという従業員の意識」があるとも考えられます。

  • 出来事:営業成績の低迷と顧客満足度の低下
  • パターン:営業チーム間の情報共有が不十分で、市場や顧客のニーズに対応できていない
  • 構造:営業部門内の情報共有システムやルールが整備されておらず、各自が個別に行動
  • メンタルモデル:「自分の担当顧客さえ満足させればよい」「他の営業担当者には無関心」といった考えや心理

従業員の意識や考え方(メンタルモデル)を変化させない限り、営業戦略を変更したとしても同様の結果を招くでしょう。

IDGsは人の内面(メンタルモデル)にアプローチするため、組織の変化を促すことが可能です。上記の例だと、IDGsの「つながりを意識する(Relating)」や「協働する(Collaborating)」を従業員が身につけることで、部門間の協調性や情報共有を重視する意識が育ち、課題解決につながるでしょう。

SDGsも同様に、人や組織のメンタルモデルが構造やパターン、出来事を生み出していると考えられます。

したがって、IDGsはメンタルモデルに働きかけて組織の構造や行動パターンを本質から変化させることから、SDGsの課題解決や経営の成長の促進につながる取り組みと言えるのです。

IDGsと「人間力」に必要な要素

IDGsのフレームワークは、内閣府の掲げる「人間力」の要素と重なっているため、IDGsの向上が企業の経営や成長につながると考えられます。
人間力とは、人の総合的なスキルを指し、社会で活躍するための能力の1つです。

内閣府の「人間力戦略研究会報告書」によると、人間力の定義を以下のように定めています。

社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力
※引用:内閣府|「付注29」

また、内閣府が示す人間力は以下の3要素で構成されています。

  • 知的能力的要素:基礎学力、専門的知識・ノウハウ、論理的思考力、創造力
  • 社会・対人関係力的要素:コミュニケーションスキル、リーダーシップ、公共心、規範意識、相互啓発力
  • 自己制御的要素:意欲、忍耐力、自己受容・自己実現力

この3要素は、IDGsの5つのカテゴリーと関連しているのです。

例えば、知的能力的要素はIDGsの「自分のあり方(Being)」「考える(Thinking)」、社会・対人関係力的要素は「つながりを意識する(Relating)」「協働する(Collaborating)」、自己制御的要素は「行動する(Acting)」に含まれています。

つまり、IDGsを企業の経営に導入することは、従業員一人ひとりの人間力を向上させることにつながります。人間力の高い従業員は、自ら考え、周りと協力しながら、社会や組織の課題解決に取り組めるでしょう。

このことから、IDGsは企業の成長や発展につながると考えられるのです。

※参考:人間力戦略研究会|「人間力戦略研究会報告書」

IDGsの5つのカテゴリー

IDGsのフレームワークは、個人の内面的な成長に必要な要素を5つのカテゴリーに分類し、さらに23のターゲットスキルを示しています。持続可能な社会の実現や、組織の成長に欠かせない重要な要素です。

ここでは、各カテゴリーの概要と対応するターゲットスキルを紹介します。

ターゲットスキル

1.自分のあり方「Being」ー自己との関係性

「自分のあり方(Being)」は、自分の内面(心)と向き合い、自分の考えや感情、身体とのつながりを深めることを目指したカテゴリーです。自分との関係性を深めることで、困難な状況に直面しても、冷静に対応して意図的な行動を取れるようになります。

現代社会では、外部からの要求や期待に応えることに意識が向きがちです。しかし、真の意味での成長やイノベーションは、自分の内なる声に耳を傾け、情熱や価値観、目的に基づいて行動することによって生まれます。

「Being」のスキルを身につけることで、自分と深く向き合い、内面から湧き上がる情熱や目的を再確認することが可能です。すると、内発的動機が高まり、自分の意思で行動する主体性につながります。結果として、社会問題や組織課題の解決に向けた積極的な行動力を発揮できるようになるのです。

▼「Being」のターゲットスキル

  • 内なるコンパス(羅針盤):全体のためになる価値観や目的に対して、深く体感した責任とコミットメントの感覚(主体的にかかわる感覚)を持っていること
  • 誠実・真摯で、本物である:誠実さ、正直さ、統合された自己一貫性を持って行動することへのコミットメントと能力
  • オープンさと学ぼうとする意欲・姿勢:好奇心という基本的な意欲・姿勢を持ち、進んで自分の弱さをさらけ出し、変化や成長を喜んで採り入れること
  • 自分を理解する力:自分自身の考えや気持ち、欲求に内省的につながることができること 現実的な自己イメージを持ち、自分を律する能力を持っていること
  • プレゼンス(今ここに在ること):今ここにいて、決めつけをせず、オープン・エンドの(結論や答えがない)状態でいられる力

※引用:Inner Development Goals|「Framework 」

2.考える「Thinking」ー認知スキル

「考える(Thinking)」は、認知スキルを伸ばして賢明な意思決定を行うためのカテゴリーです。多様な視点を持って情報を適切に評価し、世界を相互につながった全体として捉えることを目指します。

SDGsや組織の課題には複数の要素が関係しており、従来の論理的思考だけでは問題の本質を見抜いて有効な解決策を講じるのが難しい場合があります。こうした問題を避けるには、他の思考法を取り入れることが必要です。

「Thinking」のスキルを身につけることで、複雑な状況を多角的に分析し、創造的な解決策を生み出すことが可能です。また、長期的な視点を持って組織の将来像を描くことで、持続的な成長につながるでしょう。

複雑な問題に対応できる思考力を育むことは、持続可能な社会の実現と組織の発展に大きく貢献するのです。

▼「Thinking」のターゲットスキル

  • クリティカル・シンキング(思考の偏りに気づく):ものごとの捉え方、結論、プランに対して、妥当かどうかをクリティカルに熟考するスキル
  • 複雑さの認識:複雑でシステム的な状況と因果的なつながりを理解し、それを活用するスキル
  • パースペクティブ・スキル(視点・見通す力):対照的な視点からの洞察を求め、理解し、積極的に活用するスキル
  • メイキング(意味を見出す力):パターンを見てとり、未知のものを構造化し、ストーリーを意識的に紡ぐことができるスキル
  • 長期志向とビジョニング:長期志向を持ち、より大きな全体性の文脈につながるビジョンを描き、それにコミットメントし続ける力

※引用:Inner Development Goals|「Framework 」

3.つながりを意識する「Relating」ー他者や世界を思いやる

「つながりを意識する(Relating)」は、他者や自然環境とのつながりを感じ、感謝の気持ちを持つことを目指したカテゴリーです。このスキルを身につけると、組織や社会のための行動につながり、公正で持続可能な社会の実現に貢献できると考えられます。

SDGsの課題は、貧困、気候変動、教育など、複雑で多岐にわたります。問題の解決には、他者や社会全体との関わりを意識し、つながりを大切にする姿勢が求められるのです。こうした姿勢を私たちが身につけることで、さまざま背景や視点を持つ人と効果的に協働し、解決策を見出せます。

組織においても、組織の心理的安全性を高め、新たなアイデアの創出を促進します。他部門や外部組織との良好な関係構築にも役立ち、組織全体の成長に寄与するでしょう。

▼「Relating」のターゲットスキル

  • 感謝:他の存在や世界に対し、感謝、ありがたさ、喜びの基本的 な感覚を持ってつながること
  • つながっているという感覚:コミュニティ、人類、地球の生態系など、より大きな全体とつながっている、またはその一部であるという鋭い感覚を持つこと
  • 謙虚さ:自己の重要性にとらわれることなく、その場の状況が必要としていることに応じて行動できること
  • 共感と思いやり:優しさ、共感、思いやりをもって、他の存在、自分自身、自然とつながり、それらに関わる苦しみに対処する能力

※引用:Inner Development Goals|「Framework 」

4.協働する「Collaborating」ー社会的スキル

「協働する(Collaborating)」は、多様な価値観やスキルを持つ人と効果的にコミュニケーションを取って協力関係を築くためのカテゴリーです。このスキルを育むことで、社会の課題解決に向けて、多様な関係者達と協働することが可能になります。

社会では、個人や自社組織だけでは解決できない課題が山積みです。SDGsの目標達成には、官公庁や企業、学校など幅広い関係者と課題に取り組むことが欠かせません。

「Collaborating」に含まれるスキルには、異なる背景を持つ人々と効率的にコミュニケーションを取る力や、相違を乗り越えて共通の目的に向かって進む力があります。こうしたスキルを持つ人材は、各立場の人との信頼関係を築き、包括的な視点で共創の場を作り出せるでしょう。

また、組織においても外部のステークホルダーと協力することは、大きなイノベーションを創出するためにも不可欠です。特に管理職やリーダーには重要なスキルと言えます。

▼「Collaborating」のターゲットスキル

  • コミュニケーション・スキル:他者の話を本当に聴く力、真の対話を育む力、自分の意見を上手に主張する力、対立を建設的に扱う力、多様なグループに合わせたコミュニケーションを取る力
  • 共創スキル:多様なステークホルダー(関係する人たち)と協力関係をつくり、発展、促進させるスキルと意欲。その関係性には、心理的安全性と真の共創という特徴があること
  • インクルーシブ・マインドセットと異文化コンピテンス:多様性を歓迎し、さまざまな異なった見解や背景を持つ人々や集団を受け入れ、含める意欲と能力
  • 信頼:心を寄せて、信頼関係を築き、維持する能力
  • 集団を動かすスキル:共通の目的に他の人たちが関わるように、ひらめきを与え、動員するスキル

※引用:Inner Development Goals|「Framework 」

5.行動する「Acting」ー変化を促進する

「行動する(Acting)」は、主体的に行動することを目指すカテゴリーです。行動を起こすために特に必要な項目を5つのターゲットスキルに挙げています。

行動を伴わなければ、世界や社会に変化をもたらすことはできません。「Acting」のスキルを高めることで、不透明で予測不可能なVUCA時代でも諦めずに挑戦し続ける力を養えます。また、革新的なアイデアを生み出すことにつながります。

組織においても、アイデアを現実のものに変え、組織や社会全体を前進させる力となるため重要です。

▼「Acting」のターゲットスキル

  • 勇気:価値観を貫き、決断し、断固とした行動を取り、必要ならば、既存の構造や見解に異議を唱え、破壊する能力。
  • 創造性:独創的なアイデアを生み出し発展させ、革新をもたらし、従来のパターンを進んで破壊する能力
  • 楽観性:希望の感覚、前向きな姿勢、意味のある変化の可能性への自信を保ち、伝える力
  • 粘り強さ:努力が実を結ぶのに長い時間がかかる場合でも、決意を固め、忍耐強く関わり続ける力

※引用:Inner Development Goals|「Framework 」

企業がIDGsに取り組むメリット

IDGsはSDGsの課題解決だけでなく、組織やチームの成長や発展にもつながります。

ここでは、企業にIDGsを導入する具体的なメリットを紹介します。IDGsを取り入れたい方は、特に参考になる内容でしょう。

変化の激しい時代に対応できる組織づくりができる

予測不可能で複雑な時代(VUCA)を生き抜くためには、変化に強く柔軟な組織が必要です。IDGsは、そのような組織を築く上で欠かせない要素が含まれています。

例えば、従業員が自己認識と思考力を磨くことで、急速な市場の変化や予期せぬ問題にも迅速に適応し、解決策を見出すことが可能です。テクノロジーの急速な進化に伴い、新しいスキルが求められる場面に直面しても、自ら学び、成長することで新たなニーズに応えられるでしょう。

また少子高齢化が進む現代、人材不足に直面する企業も少なくありません。しかし、IDGsを通じて各従業員の能力を最大限に引き出すことで、少数精鋭でも高い生産性を維持することが可能になります。

例えば、「Collaborating(協働する)」のスキルを身につけ、主体的に組織を動かせる従業員は、チームの協力を促進して限られたリソースでも高い成果を上げられるでしょう。

適材適所の人材配置や効果的な育成計画に役立つ

IDGsのカテゴリーやターゲットスキルを活用することで、効果的な人材配置や最適な育成計画づくりに役立ちます。

例えば「協働する(Collaborating)」のスキルが高い従業員は、チームワークを重視するプロジェクトや、部門間の架け橋となるポジションや部署に向いていると考えられます。

また、IDGsを基にした人材評価システムを導入すれば、各従業員が自身のスキルや成長ポテンシャルを正確に理解し、キャリアパスを自ら設計するための指針とすることが可能です。従業員は自分に合った成長機会を見つけられ、企業は個々の能力を最大限に引き出せる人材配置が実現することにつながります。

企業としてのブランディング・イメージアップにつながる

IDGsに取り組む企業は、企業の社会的責任(CSR)を果たすため、企業の信頼とイメージを大きく向上させることにつながります。

社会へ配慮した取り組みや商品・サービスの提供は、社会からの評価を高めて企業のブランド価値を強化します。
例えば、環境保護活動や地域社会へのボランティア活動に積極的な企業は、消費者や投資家から「社会に良い影響を与える企業」と認識されるでしょう。
SDGsに配慮した活動は、「人を大切にし、持続可能な社会づくりに貢献している」というポジティブな企業イメージにつながります。

こうした企業イメージは、価値観を重視する若年層の優秀な人材に魅力的に映り、採用のアピールポイントとしても効果を発揮します。企業の持続的な成長に不可欠な人材を確保するのに役立つでしょう。

IDGsを企業経営に導入する方法

ここでは、IDGsを企業や組織に導入する具体的な方法やアイデアを紹介します。

実際に、株式会社エタニティーズの研修やコミュニティでも取り入れている方法も紹介しますので、導入のイメージがしやすいはずです。ぜひ参考にしてみてください。

360度評価の指標として取り入れる

360度評価にIDGsの5つのカテゴリーと23のターゲットスキルを取り入れることで、従業員は普段の業務を振り返り、自身の成長を促すことにつながります。360度評価とは、上司や同僚、部下など社内の関係者から業務や取り組みに関してフィードバックを受ける方法です。

評価の設問にIDGsの要素を組み込むことで、従業員がどのスキルを伸ばすべきか、何を改善すべきかを把握することにつながります。しかし、効果的な360評価を実施するためには、IDGsの各カテゴリーとターゲットスキルの概要を従業員全員に共有し、理解を深めることが重要です。

360度評価のフィードバックを通じて、従業員はIDGsのカテゴリーとターゲットスキルについての理解を深められ、成長のためのアクションプランを立てる一助になるでしょう。結果として、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。

階層別研修に取り入れる

階層別研修にIDGsのカテゴリーとターゲットスキルを組み込む方法も挙げられます。新入社員から中堅社員、管理職と各階層の従業員が、自身の働き方や業務の振り返りを行う指標としてIDGsのフレームワークを活用します。

階層研修に用いることで、すべての従業員が自己成長に必要なスキルや行動を明確に理解して、日々の業務に活かせるでしょう。

研修の実施方法としては、社内の人材開発部門やチームリーダーなどが中心となって推進開催することが考えられます。

社外講師による研修やワークショップで取り入れる

企業がIDGsを人材育成や組織開発に効果的に活用するためには、専門知識を持つ外部講師を招くことも有効な方法です。IDGs専門の外部講師による研修やワークショップに参加することで、IDGsの各カテゴリーやターゲットスキルを従業員が深く理解でき、日常の業務や組織運営に応用する方法を学べます。

例えば、コミュニケーションスキルやチームワークを強化するためのワークショップを通じて、従業員同士の協働を促進し、よりダイナミックな組織文化の構築に貢献できます。また、外部講師からの視点やアイデアは、企業風土を活かしながら従業員の創造性や革新的な思考を促すきっかけとなり、組織全体の成長につながるでしょう。

IDGsの「Toolkit」を活用する

2022年に開発されたIDGs Toolkitを用いて導入する方法もあります。IDG
Toolkitでは、IDGsの5つのカテゴリーと23のターゲットスキルを向上させるための具体的なツールやワークシート、質問例を提供しています。

そのため、手軽にIDGsについて理解を深められ、組織の人材育成や組織開発のプログラムに組み込めるでしょう。

なお、公式サイト「IDGs Toolkit」は日本語対応ではありませんが、書籍『IDGs 変容する組織』には、巻末付録としてIDG Toolkitの日本語訳版が掲載されています。こちらを活用すると便利でしょう。

IDGsについて日本で学ぶ方法

とはいえ、IDGsはまだ日本国内では新しい概念であるため、情報が少なく、具体的なイメージが湧きにくいという方も多いでしょう。

ここでは、IDGsについて日本で学ぶための方法を紹介します。手軽に学ぶ手段から詳しく学べる方法まで紹介しますので、どなたでも参考になるはずです。

IDGsの書籍『IDGs 変容する組織』を読む

IDGs 変容する組織

書籍『IDGs 変容する組織』では、IDGsの基本的な概念や考え方、組織内での具体的な実践方法について詳しく解説しています。IDGsから現代社会の現状、経営のあり方、経営戦略について網羅的に解説しているため、今後の組織づくりや人材育成のヒントを学びたい方には役立つ内容です。

事例や研究結果に基づいて、どのようにして個人の内面的な成長が組織の変革に貢献するかが網羅的に紹介されています。サステナビリティ経営を実践したい起業家や経営者、人材育成の方法やあり方を学びたい人事部などにおすすめです。

IDGsのセミナーに参加する

IDGsの専門機関や講師が開催するセミナーやワークショップに参加する方法もあります。IDGsの専門家から直接組織への導入方法や、カテゴリーやターゲットスキルについて詳しく学べるでしょう。

さらに、他の参加者と意見交換できるため、IDGsの具体的な活用方法や活用アイデアも得られるメリットがあります。

IDGsをどのように活用できるかについて講師から直接学びたい方や、IDGsを促進する参加者とのつながりを作りたい方におすすめの方法です。

IDGsのコミュニティに参加する

IDGsのコミュニティに参加することもおすすめです。

日本のHUBとして活動する「JAPAN HUB エッセンシャル ダイアログ
コミュニティ
」は、IDGsに関心のある人たちが集まるコミュニティです。定期的な勉強会やイベントが開催されており、IDGsについて学びを深めたり、実践者との交流を通じて知見を広げることができます。

https://www.facebook.com/groups/3729348210722179/

IDGsを組織や社会に効果的に導入するためには、継続的な勉強や実践が欠かせません。

コミュニティでのイベントや勉強会を通じて、楽しく継続的にIDGsについての理解を深め、自分や組織の成長に活かせます。オンラインでも気軽に参加できるイベントやワークも開催しているため、場所や時間に捉われずに参加可能です。

興味のある方は、こちらにコミュニティのページがありますので、ぜひご覧ください。

【IDGs JAPAN HUBエッセンシャ ダイアログ コミュニティ】

まとめ|企業の発展にIDGsは重要

本記事では、IDGsの概要やSDGsとの違い、企業経営への導入メリットや具体的な取り入れ方などを詳しく解説しました。

IDGsとは、個人の内面的な成長を促すフレームワークのことで、5つのカテゴリーと23のターゲットスキルで構成されています。SDGsの課題解決を促進することを目的として、2022年に国連で認められて推進が開始されました。

IDGsを企業経営に取り入れることで、変化の激しい時代に対応できる組織づくりや、適材適所の人材配置、効果的な育成計画などに効果を発揮します。

IDGsについて詳しく理解し学びを深めたい方は、セミナーやコミュニティに参加することをおすすめします。

「JAPAN HUB エッセンシャル ダイアログ コミュニティ」への参加や、株式会社エタニティーズの企業研修・組織開発コンサルティングも、IDGsを実践的に学ぶ機会となるでしょう。

企業の持続的な成長と発展のために、あなたもIDGsの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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