株式会社エタニティーズ|IDGs・成人発達理論に基づく組織開発と人材育成

ティール組織

TEAL ORGANIZATION
ティール組織
進化する組織の、その先へ。
ティール組織(Teal Organization)とは、人類の意識の発達とともに進化してきた組織形態の、その最先端に位置づけられた段階を指します。自主経営・全体性・存在目的という3つの特徴を持ち、指示命令ではなく、組織それ自身の目的に導かれて動いていく点に本質があります。

提唱したのは、元マッキンゼーのコンサルタントであるフレデリック・ラルー。2014年の著書『ティール組織(Reinventing Organizations)』で、人類の意識の発達とともに組織のかたちもまた進化してきたことを示し、その最先端に「ティール」という段階を位置づけました。世界で80万部以上を売り上げ、「この10年で最も影響力のある経営書」とも評されています。


なぜ今、ティール組織なのか

長く続いてきたピラミッド型の組織——トップが計画し、指示が下へ伝わり、現場がそれを実行する——という形は、変化が緩やかで予測可能な時代には、たしかに効率的でした。しかし、環境が目まぐるしく変わり、現場のほうが顧客や状況をよく知っている時代には、上の判断を待つ仕組みそのものが、組織の足かせになっていきます。

同時に、多くの人が、職場で「本当の自分」を押し殺して働くことへの違和感を抱くようになりました。役割を演じ、感情を隠し、評価のために振る舞う——そんな働き方では、人の力は十分に発揮されません。ティール組織は、こうした従来型の組織の限界に対して、「人がより人間らしく、いきいきと働ける組織は可能だ」という、希望に満ちた選択肢を示しました。その前向きなビジョンが、世界中の経営者や働き手の心をとらえたのです。

理論の核心──色で示される、組織の進化段階

ラルーの理論の土台にあるのは、「人類の意識が段階的に発達してきたように、組織のかたちもまた進化してきた」という見方です。彼はその発達段階を、色になぞらえて整理しました。これは、ケン・ウィルバーのインテグラル理論をはじめとする、意識の発達をめぐる研究の系譜を受け継いだものです。

含んで超える(優劣の序列ではない) レッド衝動型 アンバー順応型 オレンジ達成型 グリーン多元型 ティール進化型

図:組織の進化段階(レッドからティールへ)

レッド(衝動型)は、力と恐れで支配する組織。アンバー(順応型)は、厳格な階層と規則で動く組織。オレンジ(達成型)は、成果と競争を重んじる、現代の多くの企業に見られる組織。グリーン(多元型)は、人の主体性や文化、関係性を大切にする組織。そしてティール(進化型)は、これらを包み込んだうえで、さらにその先へ進もうとする段階です。

ここで大切なのは、これらの段階に優劣の序列があるわけではない、という点です。それぞれの段階は、その時代や状況に応じた合理性を持っています。後の段階は前の段階を否定するのではなく、その良さを内に含みながら、より広い視野へと開かれていく——そういう「含んで超える」関係にあります。

ティール組織を支える3つの柱

ラルーは、ティール段階の組織に共通して見られる特徴を、3つの柱として整理しました。

① 自主経営(セルフ・マネジメント)

上司による指揮命令や、固定された階層に頼らず、メンバー同士の信頼と対話のなかで、自律的に意思決定が行われていくあり方です。誰もが必要な情報にアクセスでき、助言を求めながら、自らの責任で判断します。

② 全体性(ホールネス)

職場で「仕事用の仮面」をかぶるのではなく、感情や直感、弱さも含めた「ありのままの自分」を持ち込めるということです。人が分断されずに、まるごとの自分でいられるとき、その力は最も豊かに発揮されます。

③ 存在目的(エボリューショナリー・パーパス)

組織を、誰かが所有しコントロールする道具としてではなく、それ自身の生命と目的を持った生き物のように捉える考え方です。組織が「何のために存在し、どこへ向かおうとしているのか」に、メンバーが深く耳を澄ませ、それに従って進んでいきます。

学ぶときに押さえておきたい3つのこと

ティール組織は希望に満ちた理論である一方、その人気ゆえに、本来の意味を離れて受け取られることが非常に多い理論です。専門的に扱う上で、次の3点はとくに重要です。

ティールは「簡単に到達できる快適な組織」ではない

最も多い誤解が、「階層をなくして自由にすれば、ティール組織になる」というものです。しかし、自主経営は「管理をやめること」ではなく、むしろ一人ひとりに高い自律と責任を求める、成熟した規律のあり方です。明確な助言プロセスや、徹底した情報の透明性、対立を率直に扱う仕組みといった、緻密な土台があってはじめて機能します。準備のないまま階層だけを取り払えば、待っているのは自由ではなく、混乱と責任の空白です。ティールは、ゴールとして簡単に手に入る快適さではなく、深い実践の果てに育つものなのです。

「ティールにすること」が目的ではない

ティールは、すべての組織が目指すべき「正解」ではありません。提唱者のラルー自身が、ティールの実践だけを取り出して、利益や競争で勝つこと(前段階のオレンジ的な動機)を主目的に注入すると、それは失敗すると明言しています。大切なのは色を上げることではなく、その組織にいる人々の意識のあり方に、組織のかたちが正直に対応していることです。背伸びして形だけ真似ても、根づきません。

段階の高さは、人間としての優劣ではない

発達段階を扱うため、「ティールが優れていて、オレンジは劣っている」という誤解が生まれがちです。しかし各段階は、その状況なりの合理性と健全さを持っています。ラルー自身、この「階段の見方」こそが問題だと注意を促しています。段階は、人や組織を格付けするためのものではなく、自分たちが今どこにいて、どこへ向かいたいかを考えるための地図です。

提唱者ラルーのいま──組織論から、気候危機へ

『ティール組織』を世に問うたあと、ラルーは130本におよぶ動画シリーズ「Insights for the Journey」を制作し、「既存の組織がどうすればこの段階へ移行できるか」という問いに応え続けました。そして近年は組織論の世界からいったん離れ、妻エレーヌ・ジェランとともに非営利プロジェクト「The Week」を立ち上げ、気候危機に人々が向き合い行動へ踏み出す場づくりに取り組んでいます。

活動を自分の所有物としてコントロールするのではなく、それ自身の存在目的に委ねて手放していく——この歩み自体が、ティール組織の核心を体現しているようにも見えます。

ティール組織を読み解く1冊

『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』(英治出版、2018年) 書影

ラルー自身による、ティール組織の原典です。原題は Reinventing Organizations。組織の進化段階をたどる歴史的な見取り図から、実際に進化型として機能している世界各地の組織の詳細な事例研究、そして「どうすればそこへ移行できるか」という実践論まで、592ページにわたって展開されます。

日本語版には、嘉村賢州氏による解説が加えられ、日本の組織文脈に引きつけて理解する助けとなっています。表面的なイメージで語られがちなティール組織を、提唱者自身の言葉で正確につかむために欠かせない一冊です。

他の理論・IDGsとのつながり

ティール組織は、組織開発の主要な理論と深く結びついています。

  • インテグラル理論——ティールの段階論は、インテグラル理論が描く意識の発達モデルを組織に応用したものです。「ティール」という色の名称も、その系譜に由来します。両者は源流と応用の関係にあります。
  • 成人発達理論——組織がより成熟した段階へ進めるのは、そこで働く人々の内面が発達していくからです。ティール組織の土台には、人の垂直的な成長への信頼があります。
  • 発達指向型組織(DDO)——ともに「人の発達」を組織の中心に据えますが、DDOが一人ひとりの成長プロセスに焦点を当てるのに対し、ティールは組織構造のあり方に重きを置きます。両者は補い合う関係にあります。
  • 心理的安全性——「全体性(ありのままの自分でいられる)」を実現するには、弱さや本音を安心して開ける心理的安全性が欠かせません。
  • IDGs(内面の発達目標)——「組織を変えるには、まず人の内面が育つ必要がある」というIDGsの問題意識は、ティール組織が前提とする意識の発達と深く響き合います。

よくある質問(FAQ)

ティール組織とは、簡単にいうと何ですか?

人類の意識の発達とともに進化してきた組織の最先端の段階で、自主経営・全体性・存在目的という3つの特徴を持つ組織のあり方です。提唱者は、元マッキンゼーのコンサルタント、フレデリック・ラルーです。

階層をなくせばティール組織になれますか?また、すべての組織が目指すべきものですか?

どちらもいいえ、です。自主経営は管理をやめることではなく、高い自律と責任、情報の透明性、緻密な意思決定の仕組みに支えられた成熟した規律であり、準備のないまま階層を取り払えば混乱を招きます。またティールは「正解」でもありません。各段階にそれぞれの合理性があり、ラルー自身も目的化する危うさに注意を促しています。大切なのは、そこで働く人々の意識のあり方に、組織のかたちが正直に対応していることです。

組織開発にどう活かせますか?

自社が今どの段階にあり、どこに向かいたいのかを見つめる地図として活かせます。形だけティールを真似るのではなく、自主経営・全体性・存在目的という3つの観点から、自社にとって意味のある一歩を、人々の成長とともに設計していくことができます。

参考文献

  • フレデリック・ラルー『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』英治出版, 2018(原著 Reinventing Organizations, 2014)
  • フレデリック・ラルー『[図解実践]ティール組織』技術評論社, 2020
  • Frederic Laloux, Reinventing Organizations: An Illustrated Invitation to Join the Conversation on Next-Stage Organizations, Nelson Parker, 2016
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