知性を新しい次元に高め、自分の才能をアップデートできる原理
『成人発達理論』とは、「人は生涯を通して成長し続ける存在である」という考えのもと、人の成長や発達のメカニズムを解明する学問です。
発達心理学の理論でも、マズローの五段階欲求段階説やジャン・ピアジェの知能の発達を臨床的・科学的に明らかにした流れを汲んで成人発達理論に発展してきました。
なぜ、今、ビジネスで成人発達理論が注目されているのか?
成人発達理論は心理学の領域で研究されてきましたが、近年の変化の激しい時代における人材育成への難しさから、「人の仕組み」を知ることがすべての課題を解決することに注目した企業組織を中心に「成人発達理論」への関心が高まってきています。
それは、個人の成長のみならず、リーダーの知性や能力を高めるリーダーシップの開発にとても有効であるからです。
ハーバードビジネスレビューにおいて「意識の発達段階」に関する記事が掲載され、ロバート・キーガン博士の著書『なぜ人と組織は変われないのか(英治出版,2014)』の中でも、「リーダーの発達段階が高くなるほど、問題解決能力は高まり、企業の問題の本質を解決できるようになる」と実践研修から証明されています。
個人の発達だけでなく、組織全体が成長していくことも、「なぜ弱さを見せ合える組織が強いのか(英治出版,2017)」において、すべての人が自己変革に取り組むことで、「発達指向型組織(Deliberately Developmental Organization =DDO)」を構築し、継続的に成長できる組織の原理原則が証明されています。
3MやMotorola、マッキンゼー&カンパニー、ハーバードビジネススクール、FBIやCIAといった国家情報機関など、アメリカの最優秀人材を集めた組織が、積極的に成人発達理論やアセスメントを活用し、自己変革の問題解決に効果を出しています。
ロバート・キーガン教授からのメッセージ
「私たちの意識は主体から客体へ移行する弁証法的なプロセスである」
主体とは、この世界を認識している私たちそのもの(認識主体)のことです。
客体とは認識主体が認識できる世界のことです。
リフレクション(内省)を重ねることによって「自分はこんな考え、価値観を持っていたのか」とそれまで認識できなかった自己の側面に徐々に気づけるようになります。こうして認識主体が徐々に客体化されていくということが、ロバート・キーガン博士の理論の一番大切なところです。
もう一つの大事なメッセージは、「私たちの意識の発達は、主体の縮小プロセスかつ客体の拡大プロセスである」ということです。主体の縮小とはエゴへの囚われが減っていくこと、つまりより利他的な存在になっていくということです。客体の拡大プロセスとは、私たちの意識が発達すればするほど、とらえられる世界が広がっていく、ということです。
成人以降の発達段階
成人発達理論は、学問分野では発達心理学に分類されます。キーガン博士は、「私たちの意識は一生涯を通じて発達していく」としています。そして成人発達理論では、意識は「自己の軸と他者の軸」の2つを行ったり来たりしながら3段階で発達していくと考えています。
アメリカの思想家ケン・ウィルバーも、インテグラル理論で、私たちの知性には多様な領域や種類があり、それぞれに深さや高度、発達段階があるということを示しています。
1つ目は「環境順応型」です。これは、周囲からどのように見られ、どんな役割を期待されるかによって自己が形成される段階です。
しかし現在のように複雑で予測不能な環境に対応するには、この段階では十分に対応できず、次の段階の「自己主導型」が必要になります。これは、周囲の環境を客観的に見ることにより自分自身の価値基準を確立し、それに基づいて周囲の期待を判断し選択できる段階で、革新的な判断の仕方をする際に求められる知性です。
しかし、個人の価値基準には限界があり、その限界に達すると、最後の段階である「自己変容型」が必要となってきます。これは、自分自身の価値基準を客観的に捉えてその限界を検討できる段階で、特定の価値基準の正しさに執着しません。これにより多様性や柔軟性が生まれ、組織とともに成長・変革できるのです。
内面の成長のための科学的アプローチの確立
心理学では、以前からカウンセラーが1対1で行う心理療法を用いた個人の自己変容・グループの集団変容のアプローチや理論が体系化され実践されていました。
ビジネスの領域でも、近年の変化が激しく課題解決の方向性が見えない時代になり、これからの時代を乗り切るための「人間力」が求められています。
一人ひとりの内面の成長が様々な課題解決の本質的アプローチになることから、成人発達理論を中心にした科学的アプローチが新しい時代の自己変革・組織変革の理論と実践法として注目されています。
【未来を創造する人材へ — 成人発達プログラム】
成人発達理論では、「人は生涯にわたって発達をしていく」科学的アプローチが証明されています。ハーバード大学名誉教授ロバート・キーガン教授の成人発達理論を核に、個々の内なる成長を最大限に引き出す人材育成プログラムをご提供します。
自己理解を深め、複雑な業務環境においても柔軟で創造的な対応ができる、未来を牽引するリーダーを育てます。