SDGsという「外の目標」を実現するために、いま世界が注目しているのは、人と組織の「内面の成長」です。複雑な環境や課題は、技術や制度だけでは動かせません。それに向き合う人間の内面が育たなければ、変化は起きない。この認識から生まれた国際的フレームワークが、IDGs(Inner Development Goals:内面の成長目標)です。
IDGs研修は、この枠組みを知識として教えるものではありません。人が実際に変わっていく発達のプロセスに即して設計された、内面的成長のための実践プログラムです。
こんな状況はありませんか
- サステナビリティやパーパスを掲げたが、現場の意識や行動につながる打ち手が見つからない
- 管理職研修を重ねても「知識」で終わり、人としてのあり方や関係性が変わらない
- 人的資本経営が問う「人の内面」を、何を軸に育てればよいのか、拠りどころとなる枠組みがない
なぜ、知識を伝える研修では人は変わらないのか
研修が行動を変えないのは、参加者の意欲や講師の熱意の問題ではありません。人の成長には固有のメカニズムがあり、知識を伝えるだけの研修は、その入口に届いていないからです。
IDGsのアドバイザーでもあるロバート・キーガンの成人発達理論は、そのメカニズムを明快に説明します。私たちは誰しも、自分では気づかないまま「こうあるべきだ」「これは危険だ」といった前提のなかで物事を判断しています。キーガンは、この無自覚に自分を支配している前提を主体、それを一歩引いて眺められるようになった状態を客体と呼びました。人が成長するとは、これまで主体だったもの——気づかぬうちに自分を動かしていた前提——を客体として捉え直し、意識的に扱えるようになっていく過程を指します。
たとえば「弱みを見せてはならない」という前提に無自覚に縛られている管理職は、どれほど傾聴研修を受けても、根本では部下に頼ることができません。しかしその前提の存在に気づき、「なぜ自分はそう思い込んできたのか」を問い直せたとき、行動は初めて、無理なく変わり始めます。
そしてこの前提の捉え直しは、講義を聞くだけでは決して起こりません。自分の内面を見つめる内省と、異なる前提を生きる他者の視点に触れる対話を通じてしか進まないものです。IDGs研修は、この変化のプロセスそのものに沿って設計されています。
IDGsとは ― 内面の成長に、科学的な地図を与える
変化のメカニズムが明らかでも、「内面の何を育てるのか」が曖昧なままでは、取り組みは続きません。IDGsの価値は、捉えどころのない内面の成長に、科学的に体系化された共通の地図を与えることにあります。
IDGsは、複雑な社会課題に向き合うために必要な内面的成長を、心理学・神経科学・発達理論の知見を統合して5つのカテゴリー・25のガイドに整理したフレームワークです。2020年にスウェーデンで始まり、Google、IKEA、Ericssonなどの世界的企業や、50以上の学術機関・政府が参画しています。そのアドバイザーには、心理的安全性のエイミー・エドモンドソン、成人発達理論のロバート・キーガン、学習する組織のピーター・センゲ、U理論のオットー・シャーマーが名を連ねます。IDGsは、これら現代の組織開発を支える理論の到達点を束ねた枠組みでもあるのです。
2021年の初版から、194か国・21,000人以上が回答した調査を経て、2025年に25のガイドへと更新されました。「達成すべきスキル」から、内面の成長を照らす「ガイド(道しるべ)」へ。この再定義には、内面の成長を評価や到達点としてではなく、共に育てていく共通言語として捉える思想が込められています。
IDGsの5カテゴリー・25ガイドの詳しい解説や基本理念はIDGsのページを、その科学的根拠と時代的背景については「なぜ今、IDGsが必要なのか」をご覧ください。
変化のプロセスに沿った、研修の設計
IDGs研修は、この「前提を捉え直す」という発達のプロセスに沿って、三つの段階を組み立てています。単なるワークの順序ではなく、内省・対話・実践という、変化に不可欠な三つの契機を意図的に配置した学習設計です。
この設計により、研修はその場かぎりの気づきで終わるのではなく、参加者自身の思考の枠組みそのものが更新される体験になります。知識やスキルを増やす水平的な学びと、それらを使いこなす器そのものが育つ垂直的な成長。この二つを同時に扱えることが、内面の成長に特化したIDGs研修の核心です。
この研修が大切にしていること
他のIDGs関連の学びと一線を画すのは、次の三つの姿勢です。フレームワークの紹介にとどまらず、人が変わる原理に基づいて設計し、組織の変容までを見据えています。
学びを、実務に根づかせる仕組み
どれほど深い気づきを得ても、人の記憶は時間とともに薄れていきます。エビングハウスの忘却曲線が示すように、学びは意図的な想起と反復がなければ、日常の中で急速に失われていきます。一度の研修が定着しないのは、受講者の姿勢の問題ではなく、学習に本来そなわった性質なのです。
この性質に抗う鍵が、研修で獲得した共通言語です。IDGsの5カテゴリー・25ガイドという言葉を組織が共有すると、「いま自分たちの対話には何が育っていて、何が足りないのか」を、会議でも1on1でも同じ枠組みで語り合えるようになります。学びが個人の記憶の中で孤立せず、日々の実務の言葉として繰り返し使われる。この反復こそが、忘却に抗い、気づきを持続的な変化へと変えていきます。
人が変わるとは、研修という一点の出来事ではなく、こうした日常への埋め込みによって初めて実現するものです。研修の設計から、その後の対話の仕組みづくり、組織文化としての定着までを一貫して伴走する場合は、組織開発コンサルティングとして承っています。
→ CONSULTING「IDGs導入・研修」では、研修を起点とした組織づくりの伴走をご紹介しています。
プログラム例
よくあるご質問
SDGsやサステナビリティの担当部署がなくても導入できますか?
問題ありません。ご依頼の多くは人事・人材開発部門からです。IDGsは人材育成・組織開発の枠組みとして、それ自体で完結して機能します。
内面の成長という、数値化しにくいテーマの効果をどう捉えればよいですか?
厳密な数値化には限界があります。だからこそ、自己評価の変化と、対話の中で語られる言葉の変化の両面で捉えます。「以前は気づけなかった自分の前提に気づけるようになった」という質的な変化こそが、成長の確かな兆しです。
研修だけでなく、その後の展開も相談できますか?
はい。研修を起点に、対話の仕組みづくりや文化への定着まで、組織開発コンサルティングとして一貫してご支援できます。まずは入門研修から始め、その後を一緒に考えていく進め方も多くの組織で採用されています。
だからこそ、確かな理論に裏づけられた地図と、変化の原理に沿った設計が要ります。
その両輪があるとき、内面の成長は組織が意図して育てられるものになります。
まずは、いまの組織の状況をお聞かせください。
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