「心理学」について、みなさんはどのような印象をお持ちですか?
「自分や人を知るための手がかりとなる学問」
「心が病んだときに必要なもの」
「人をタイプにはめて分析するもの」などなど、たくさんのご意見があると思います。
最近では、「〇〇心理学」という、私もはじめて目にするものも増えてきています。
基本的な心理学から遠く離れたものや、狭い領域の中だけで人間のすべてを当てはめて不安をあおるものもあり、ますます心理学への誤解が増えるのではと心配しています。
私たち対人支援に関わるものは、守秘義務も大切ですし、人に対する尊厳がなくては成り立ちません。
クライエントの方の幸せとともに、自分自身も一人の人間として、お互いの尊厳を認め合うこと。
その時に、さまざまな領域からの心理学の本質を理解し、正しく人間のことを理解していることが大切です。
発達心理学者 ザッカリー・スタインは、
発達理論は、他者を判定・分類するための道具ではなく、他者を効果的・効率的に支援するためのものである。
と言っています。
私たちは、「私たちが見たいように世界を見ている。」という認知心理学の基本を知ることで、他の人は「その人が見たいように世界を見ている。」ということに気づきます。
まずは、ここから、心理学の世界へ入られてください。
そして、その違いを価値判断を加えずに、違いから生まれる不安に気がついたら、それを手放すことで、お互いの尊厳を認め合えるようになります。
「みんなちがって、みんないい」
金子みすゞさんのこの詩に心打たれるのは、すでに誰の心の中にもある、この大切な答えに気づくから。
ただ、忙しい日々や、いろんな事情で、その大切な感覚を忘れてしまっているだけなのです。
「みんなちがって、そして、みんながすばらしい」
どんな状況であっても、どの命も、今ここの一瞬一瞬を一生懸命に生きている。ただそれだけです。
私も、今までご縁を頂いた、たくさんのクライエントさんの中に、この美しいものが必ずあって、忘れていた答えを見つける旅をご一緒できることを有難く思っています。
その旅の中では困難な時もありますが、一人での旅でないことは、とても心強いものです。
そして、その時に、クライエントさんを支える、私の杖となり助けになるのが、「心理学」の知識や実践なのです。